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世界遺産 熊野古道 ウォークレポート
田辺(紀伊田辺駅)~稲葉根王子編

南紀ほんまもん通信 第24号(2005年6月14日)

 今回は、熊野古道中辺路街道の始まり、田辺から稲葉根王子までをウォークレポートです。
昨年7月の世界遺産登録以来、世界遺産登録されている滝尻~熊野本宮大社の区間以外に、「中辺路街道を通して歩きたい」という方も見受けられます。
今回のルートは、ほとんどが生活道路となってわかりにくくなっているか、古い道は荒れて通行しにくくなっていたりします。そのため、熊野古道の痕跡が残る道・歩きやすい道を選んで歩いてみました。

出発の前に、下記リンク先の地図をご覧下さい。
レポート中「ウォークマップ」と書いているのは下記のマップになりますので、レポートを見ながら参照してください。
紀伊田辺駅~稲葉根王子ウォークマップ

JR紀伊田辺駅出発

田辺は、熊野への入り口ということで「口熊野」と呼ばれていました。
中辺路方面のコースを歩く方は、駅前のビジネスホテル等に宿泊し、早朝のバスで中辺路方面に向かう方が多いようですが、今回は当日に田辺駅に到着し、そのままウォークに出発することを想定してみました。
駅前には、田辺が出生の地とされる弁慶像が建っています。また、観光案内センターや中辺路・本宮方面へのバス停がありますので、熊野古道の起点として、大勢の方が立ち寄られています。
観光案内センターでは、熊野方面のパンフレットなどがありますので、到着したらまず立ち寄ってみましょう。
<出発 13:18>


味光路(あじこうじ)へ

紀伊田辺駅を出発し、駅前の大通り右側のアーケードを歩いていきます。上記ウォークマップでは、「湊本通り」に右折しますが、今回は少し手前の細い路地「味光路」に入ってみましょう。<13:20>


こちらがもともとは熊野古道大辺路だったともいわれる通りですが、現在は飲食店街になっています。田辺駅周辺にお泊まりなら、夜にぜひ訪れてみて下さい。


蟻通神社(ありとおしじんじゃ)

 味小路の路地をまっすぐ進むと、湊本通り商店街に合流します。合流したすぐ前が「蟻通神社」です。
<13:22>
境内にある楠の木は、街中にあるとは思えない程の大木で、安政の大火の時に水を噴いて町を守ったという伝説が残っています。
蟻通神社を出たら、そのまま湊本通りを進んで行きます。


道分け石(みちわけいし)


ここで中辺路と大辺路に分かれていますので、
熊野古道中辺路のスタートはここになるわけですね。

 湊本通りを進むと、通りが北新町へと名を変えます。蟻通神社を出て2分ほど、左側の呉服店の店先に「道分け石」があります。
<13:26>
ここ北新町の三栖口は、熊野道の中辺路ルートと大辺路ルートの分岐点になっています。今回、蟻通神社から歩いてきたのですが、そちらは海沿いを進む「大辺路」になります。このまま北新町を直進し、本町・栄町方面からの道が「紀伊路」で、京都・大阪方面から続いてきた道です。


街中の熊野古道

 道分け石から右折し、三栖口通りを歩いていきます。すこし蛇行しているところもありますが、道なりに歩いていくと踏切があります。「栖の口踏切」とありますが、地元では「三栖口の踏切」と呼ばれています。
<13:30>
踏切を渡ると、ウォークマップでは左折して「高山寺」を回るコースになっていますが、今回は直進して熊野古道だったといわれる道をたどってみます。
このあたりは古くからの道で幅も狭く、自動車が対向するのがやっと。古くからの道がそのまま生活道路になってきたようです。


街中を進む

 三栖口からの道を進んでいくと、やがて交差点にさしかかります。<13:35>
交差している道路は、旧国道42号線(現在は国道424号線)。現在の国道42号線はさらに山手にバイパスとして通っていますが、この道もかつては「国道42号線バイパス」だったようです。
交差点を渡り、さらに進んでいきます。



万呂(まろ)道分け石

 少し蛇行しながらも道なりに進んでいくと、この道が突き当たったところにホームセンターの大きな看板が見え、道路左側のガードレールの外に道分け石があります。
<13:41>
今来た方向から見ると「右くまの道」と書かれているので、ここから右に向かうのが熊野古道のようです。
もちろん右に折れ、どんどん進んでいきます。



国道42号線と交差

 少し蛇行していますが、道なりに進んでいきます。このあたりは10年ほど前に開通した国道42号線バイパスから1本入った道になり、左側(国道42号線バイパス側)には郊外型の小売店が軒を並べています。
やがて国道との交差点にさしかかります。<13:51>


 交差点の向こうに、次の目的地「須佐神社」のこんもりとした森が見えます。
広い道路なので、気を付けて横断しましょう。
交差点を渡ると、すぐに右側に天王池、そして左側にこんもりとした須佐神社の森があります。


須佐(すさ)神社

<13:58>
少し石段を登ると境内です。須佐神社には、これから向かう万呂王子が合祀されています。



田園地帯をのんびりと

 須佐神社を過ぎてすぐ、JAとガソリンスタンドがあります。そのまま進んでもいいのですが、ガソリンスタンドの角を左折します。(ウォークマップどおりのルートです)


 スーパー(Aコープ)の前を通り過ぎると、すぐに橋があります。ここでもウォークマップどおり橋の手前を右折し、堤防上の細い道を歩いていきます。
アスファルト舗装していますが、狭いので車の通行量が少なく、のんびりと歩けます。


万呂(まろ)王子近くへ

 ウォークマップでは、堤防上の道を進み「熊野橋」(写真右奥)で広い車道と合流して川を渡るのですが、少し手前に小さな橋があったので渡ってみました。
車がいっぱい通っている道よりものんびりと歩けます。


万呂(まろ)王子

 小さな橋を渡って少し進むと、もう少し広い車道に出ます。そのまま進み、下写真の用水路沿いの細い道に入ります。


 細い道に入ってすぐ(約40mくらい)、用水路を渡れるようになっているところがあります。そこを渡った畑のなかに万呂王子跡の碑があります。ちょっと分かりにくいですが・・・
<14:25>

三栖廃寺塔跡(みすはいじとうあと)へ


三栖廃寺は奈良時代前期の創建で当時一町(約100m)四方に法隆寺様式の伽藍をもつ寺だったといわれていますが、文献は残っていないようです。

用水路沿いの道を進んでも、三栖廃寺塔跡への道につきあたりますが、わかりにくいので、万呂王子跡の向こう側の堤防上の車道(交通量が多い)の歩道を歩き、三栖廃寺塔跡へと向かいます。(ウォークマップどおりのルート)案内板に沿って進み、少し左に入ると三栖廃寺塔跡があります。
<14:40>


三栖(みす)王子へ

 三栖廃寺塔跡から元の道に戻り、三栖王子へ向かいます。
すぐに広い交差点にさしかかります。(下三栖バス停)
交差点を渡って右にはコンビニエンスストア、渡って直進右側にはスーパーがあります。



 スーパーの駐車場の向こうに、「報恩寺(善光寺)」の案内板がありますので、右折して向かいます。


 スーパーの角から2~3分で橋があり、渡って右の坂道を上ると善光寺、細い道に直進すると熊野古道の案内板があります。案内板に沿って細い道に入ります。

 すぐに右の梅畑へ上るよう、案内板がありますので上がっていきます。梅畑の地道で、ちょっとだけ熊野古道気分になったところで三栖王子に到着です。<15:02>
ここで小休止。


三栖(みす)からの山越え

 三栖王子の先で、車道と合流します。車道の向こうを見ると、「熊野古道」の案内板が見えるので、道路を渡って畑の中の道に入ってみました。

梅の収穫時期で、梅畑には青いネットが張られています。踏まないように気を付けて上っていくと、やがて草ぼうぼうの山道になったのでUターン。畑仕事をしている方に聞くと、たまに歩いている人もいるそうですが、「今はハビ(マムシ)おるから危ないで。」と言われました。確かにこの時期は危なそうなので、車道に戻り、新岡坂トンネルを抜けるルートに進みました。<15:15>
新岡坂トンネルへ向かい車道を歩いて行きました。車の通行量も多く、道路端を注意して歩いていかなくてはなりませんのであまり気持ちのいいものではありません・・・。

やっと登り切ってトンネルを抜けます。
トンネルの両側には狭いながらも1段高くなった歩道があります。
<15:40>

八上(やがみ)王子へ


トンネルを抜けて坂を下ると、
5分ほどで八上王子の案内板があります。

案内板の先を右に折れると、
すぐに八上王子(八上神社)の鳥居があります。
<15:47>

 石段を登り、境内に入ってみました。
西行法師の歌碑があり、森に囲まれた静かな所です。
車道沿いの山越えでちょっと疲れたので、10分ほど小休止。

田中神社へ

 八上王子を出てそのまま進むと、3分ほどで橋があり、橋を渡ると岡小学校です。
橋を渡って右に川沿いの道を進みます。


 さらに数分で、道路が川沿いからすこし離れます。すぐに、水田の中にこんもりとした森が見えます。ここが「田中神社」です。
<16:10>
南方熊楠が命名した「オカフジ」があるのですが、花の時期は過ぎていたようです。神社隣には「大賀ハス」田があるので、もう少しするとハスの花が見られます。

稲葉根(いなばね)王子へ

 田中神社を過ぎ、少し広い車道に合流してそのまま進んでいきます。この道も交通量が多いので、注意が必要です。



このような案内板があります。

途中、「王子谷越えルート」の山越えコースへ向かうこともできます。しかし、少し行ってみたのですが道が荒れ、岡越えのときに「ハビ(マムシ)」の話を聞いていたので、再び車道に戻りました。
(ここで15分ほど行ったり来たりしました)



トンネルの上を熊野古道が通っています。 

すぐに国道311号線との交差点にさしかかります。
交差点から左に、稲葉根トンネルが見えますが、ここは交差点を渡って左に進みます。トンネルの右側の歩道のほうが、手すりで車道と分けられているのでちょっとは歩きやすいからです。
しかし、熊野古道が賑わった当時はありえないトンネルをくぐるのは、ちょっとくやしい気分ではあります。


 トンネルを出ると、すぐに「稲葉根王子跡」の案内板があります。右に折れ、森を回り込むと今回の最終目的地・稲葉根王子です。


稲葉根(いなばね)王子

<16:55>
稲葉根王子は、王子社の中でも社格の高い五体王子のひとつでした。
稲葉根王子の前の富田川(当時は岩田川)では、熊野参詣の途中の大切な儀式として水垢離(みずごり)が行われたようです。

潜水橋

 稲葉根王子のすぐ下流には、珍しい「潜水橋」があります。この橋は、増水時にも流されないよう欄干などがない橋です。
幅も狭く欄干がないので、渡るのはちょっと怖いような気もします。
でも、地元の高校生が平気で自転車で渡っていったのでちょっとびっくり。


歩いてみて

今回のコースはほとんどが舗装路のコースとなり、また市街地なので当時とは変貌して生活道路となり、熊野古道がどこなのかはっきりしないところもあるようです。
少し残る地道も今は通る人もいなくなり、夏になると雑草に覆われて通れないところもあります。そのため、前述のウォークマップなどでルートを確かめながら歩いてみて下さい。
しかし、紀伊路を下ってきた熊野古道が、中辺路街道と大辺路街道に分かれてスタート地点になる、熊野古道の拠点で、今回のコース以外にも市内のみどころも多くあります。

また、交通の便が比較的いいので、早朝に大阪・東京からの特急や飛行機で昼前に田辺駅に到着しても、夕方までに歩き通せるコースとなっています。そのため、田辺駅周辺で1泊し、翌日は早朝のバスで出発すれば、稲葉根王子からのコースはもちろん熊野本宮大社までの、熊野古道中辺路のさまざまなコースを楽しむことができます。

アクセス (取材時の時刻表です)

大阪方面から
新大阪 7:35→(特急スーパーくろしお1号)→ 9:56 紀伊田辺駅
東京方面から(飛行機で)
東京(羽田) 9:10→(JAL 1381便)→ 10:20 南紀白浜 10:30→(明光バス)→11:08 紀伊田辺駅

(バス時刻表) 龍神バス


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